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産後のフケの原因は女性ホルモン低下とストレス!改善法はあるの?

最終更新日:

【毛髪診断士監修】産後のフケの原因は女性ホルモン低下とストレス!改善法はあるの?

「産後のフケはどうしたら治るの?」

「産後のフケはいつまで続くの?」

このような悩みを抱えていませんか。

産後はほとんど女性ホルモンが出なくなり、その影響でフケが出やすくなります。個人差はありますが、産後半年から一年ほどに女性ホルモンの分泌が始まり、フケの症状も落ち着きます。

ですが、乱れた生活習慣ではフケが長引く恐れがあります。フケを長引かせないためにも原因と対策方法を確認しましょう。

この記事の監修
医薬開発研究課 課長/毛髪診断士 網野 伸哉

商品開発課 課長/毛髪診断士

網野 伸哉(あみの しんや)

成蹊大学経済学部卒業後、大手住宅メーカーに入社。2013年にアンファー株式会社に転職。
スカルプDブランドの商品開発責任者として従事し、15代目スカルプDの商品リニューアルを担当。

sec.1 産後に大量のフケが出る原因は?

女性ホルモンの低下

産後にフケが増える原因は女性ホルモンであるエストロゲンの低下です。女性ホルモンにはエストロゲンとプロゲステロンの二種類があり、中でもエストロゲンは女性らしい身体を作る上で重要なはたらきがあります。

エストロゲンの主なはたらきは次の通りです。

● 皮脂の分泌を抑える
● 髪や肌にうるおいを与える
● 女性特有の丸みを帯びた身体を作る
● 排卵や月経を起こす
など
肌の調子を左右するエストロゲン
生理の前に肌の調子が良くなる理由はエストロゲンが多く分泌されるからです。エストロゲンの作用により肌のうるおいが維持され、さらに皮脂の過剰な分泌が抑制されるため肌荒れが起きにくい健康な状態になります。

反対に生理中に肌が荒れやすい原因はエストロゲンの分泌が低下し、皮脂の分泌を促す作用があるプロゲステロンの分泌が増えるからです。皮脂の分泌が増加し、毛穴の中に皮脂が溜まると菌が繁殖しやすい環境になります。菌が繁殖すると炎症を起こして、毛穴の中に膿(うみ)が溜まりニキビとなります。

フケができる原因も、ニキビと同様に皮脂の分泌が関係しています。皮脂の分泌量が増加すると、頭皮でマラセチア菌というカビの一種が増殖します。マラセチア菌は皮脂を遊離脂肪酸という、頭皮に刺激を与える物質に分解します。その物質により頭皮が刺激を受けると、フケが多く出るようになります。
産後のエストロゲンの分泌量はほとんどゼロ
エストロゲンは胎児を育むはたらきがあるため、妊娠から出産の時期にかけて分泌量は非常に多くなります。その量は妊娠前の10~100倍程度です。しかし出産後はほとんど0に近い状態までエストロゲンの分泌量は少なくなるため、産後は皮脂の分泌量が増加してフケが出やすくなります。
夫婦間や育児面のイライラ
産後はイライラしやすくなりますが、そのイライラもフケを増やす原因になります。

ストレスを感じて交感神経が優位になると男性ホルモンの分泌が促進されます。男性ホルモンと皮脂の分泌の促進には関係があるため、イライラする時間が増えると皮脂が過剰に分泌され、フケが多く出るようになります。

「夫が家事を手伝ってくれない」「夫の家事に満足できない」「育児に慣れず戸惑うばかり」などの理由でイライラし始めると、ストレスはどんどん蓄積されます。
洗浄力の強いシャンプーの使用

皮脂には、頭皮のうるおいを保つ、紫外線や菌などの刺激から守るなど重要な役割がありますが、洗浄力が強いシャンプーを使用すると必要以上に洗い流されます。すると皮脂は頭皮を守ろうとして過剰に分泌されるようになり、フケが多く出るようになります。

洗浄力が強いシャンプーの種類
シャンプーの洗浄力は洗浄主成分によって大きく変わります。シャンプーの洗浄主成分の種類は主に高級アルコール系、石鹸系、アミノ酸系の3種類です。

市販されている多くのシャンプーは高級アルコール系が使用されています。

原料が安いため価格も値ごろ、泡立ちが良いなどの特徴がありますが、洗浄力が非常に強く、皮脂を必要以上に落とします。

石鹸系は天然の洗浄主成分で肌にやさしいイメージがありますが、実は高級アルコール系と同様に洗浄力が強く、皮脂を必要以上に落とします。

つまり高級アルコール系と石鹸系のシャンプーは皮脂を必要以上に落とすため、逆に皮脂の過剰分泌を招き、フケの原因となります。

アルコール系、石鹸系、アミノ酸系の3種類のうち洗浄力がやさしいのはアミノ酸系のみですから、産後にフケに悩んでいる場合はアミノ酸系のシャンプーを選びましょう。

sec.2 産後のフケを改善する方法

産後のフケを改善する方法
ビタミンB2、ビタミンE、鉄を摂取する

産後のフケに効果的な栄養素と、それを多く含む食べ物をご紹介します。毎日の食事に積極的に取り入れてください。

ビタミンB2

ビタミンB2は脂質をエネルギーに変えるはたらきがあります。脂質は酵素のはたらきによって消化・分解されてエネルギーに変えられますが、ビタミンB2はそのはたらきをサポートする役割があります。そのためビタミンB2を摂取すると脂質の代謝がうまくいくようになり、頭皮のベタつきを予防できます。

ビタミンB2を多く含む食べ物は次の通りです。

● レバー
● うなぎ
● 卵
● 牛乳
● きのこ
ビタミンE

ホルモンバランスを整えるために必要な栄養素はビタミンEです。ビタミンEは多くのホルモンを分泌する脳下垂体にはたらきかけて、女性ホルモンの分泌を促進する効果があります。

また、ビタミンEには血管収縮を促す物質が作られるのを抑制して毛細血管を広げるはたらきがあります。そのはたらきによって頭皮の血流が良くなると、細胞の新陳代謝が活発になるため、頭皮の健康状態を維持できます。

ビタミンEを多く含む食べ物は次の通りです。

● ピーナッツ
● アーモンド
● ほうれん草
● ブロッコリー
● 大豆油

産後に怒りっぽくなったり、不安を感じやすくなったりする原因のひとつは鉄不足です。鉄は心を安定させるセロトニンや、やる気を促すノルアドレナリンなどの物質を作る際に必要不可欠な栄養素です。そのため、不足すると情緒が不安定になりがちです。

鉄を多く含む食べ物は次の通りです。

● レバー
● カツオ
● 小松菜
● 大豆
● 納豆
睡眠

睡眠不足はホルモンバランスの乱れやストレスの原因になるため、質の高い睡眠をとることが大切です。

質の高い睡眠をとるポイントは体温を下げることです。昼間は熟睡しづらいと感じたことありませんか。それは夜間と比べて日中は体温が高いからです。体温の低い時間帯には寝入りやすく、体温が高い時間帯には寝入りにくいものです。つまり就寝前に体温を下げれば、眠りに入りやすくなります。

また、身体を興奮状態にする交感神経が優位になっていると眠りに入りにくくなるため、身体をリラックス状態にする副交感神経を優位にさせることも睡眠の質を高めるポイントです。

入浴で体温を上げる
就寝前に体温を低下させる簡単な方法が入浴です。眠る60~90分前に入浴して一時的に体温を上げると、眠る頃には入浴前よりも体温が低下するため、眠りに入りやすくなります。ただ、シャワーを浴びる程度では体の表面の温度しか上がりません。浴槽に浸かる入浴で身体を温めましょう。

ただ、産後1か月以内は子宮内膜が充分に回復しておらず入浴はできないので、そのような場合は足湯を行ないましょう。足湯でも睡眠の質は改善できます。
産褥(さんじょく)体操で体温を上げる

産褥体操は妊娠によって変化した身体の回復を早めることを目的とした体操です。この体操を就寝前に行なえば体温の上昇により、睡眠の質の改善効果が期待できるとともに、子宮や骨盤底筋の回復を早めることができます。

最初は軽い運動から始め、身体の様子を見ながら徐々に運動の強度を高めましょう。

産後1~2日は簡単な呼吸法や足の運動などの軽い運動から始めましょう。

1. あおむけになり胸に手をあて、胸がふくらんでいるのを意識しながら深くゆっくりと呼吸をする
2. お腹に手をあてお腹がふくらんでいるのを意識しながら深くゆっくりと呼吸をする
3. 足首に力を入れ曲げたり伸ばしたりを繰り返す
4. 足の指を閉じたり開いたりを繰り返す
5. 足首を左右に回転させる

産後3日目は骨盤、肛門、手足の運動を行ないます。方法は次の通りです。

1. あおむけになりお腹に手を置き、ひざを立てて肛門を締めたりゆるめたりを繰り返す
2. 足を伸ばし左右交互に上げる
3. 身体がTの字になるように腕を広げた状態から、ひじを曲げずに身体の中心に腕をもってきて手のひらを合わせる

産後3週間目は立って行なう体操も取り入れます。

1. 真っ直ぐに立ち、膝を曲げないまま手が足首にとどくまで上半身をかがめる
2. 両手を前で組んだ状態でうつぶせになり、息を吸いながら両膝をお腹に寄せるようにして腰を高く上げる

産後4週間目以降は腰を使う体操を取り入れます。

1. つま先立ちになり、お尻がかかとにつくまで腰を落とす
2. 足をいっぱいに開いた状態で座り、上半身を左右交互にひねる
ストレッチで心身の疲労を取り除く

筋肉や関節を伸ばすストレッチを就寝前に行なうと心身の疲労を取り除き、身体をリラックス状態にさせるため眠りに入りやすくなります。

ストレッチをする上で重要なポイントは次の通りです。

● 20秒以上筋肉や関節を伸ばす
● 部位を意識しながら伸ばす
● 傷みがなく気持ち良い程度の強さで伸ばす
● ストレッチ中は呼吸をし続ける
呼吸法で身体をリラックスさせる

就寝前に身体をリラックスさせて副交感神経が優位な状態にすると、眠りに入りやすくなります。身体をリラックスさせる簡単な方法は、ゆっくりと深い呼吸をすることです。このように呼吸するだけで睡眠の質を改善できます。

実際、深くゆっくりとした呼吸を他動的に行なえるマットを使い、入眠に及ぼす影響を調査した研究ではマットによる呼吸のアシスト中に副交感神経が優位になり、睡眠量が増加したという結果が出ています。

出典:J-STAGE「ヒトの生体リズムを考慮した快眠技術

家庭内のイライラを減らす

夫、子供、そして自分自身に対する接し方を少し変えるだけでイライラする回数を減らすことができます。

家事に完璧を求めない
炊事、洗濯、料理など今までできていたことが、産後だと順調にできなくなることもあります。それを「私はダメな母親だ」とマイナスに捉えるとストレスは溜まっていくので、「赤ちゃんとたくさん向き合えた」「洗濯はできなかったけど料理はできた」などプラスに考えることが大切です。このように考え方を少し変えるだけでも気持ちは楽になります。

この考え方は夫に対しても同様です。夫が家事や育児をうまくできないからといって毎回イライラするとストレスは溜まるので、「5~6割できていれば充分」と考え方を変えてみましょう。
夫を褒める
夫を家事に積極的にするには褒めるのが効果的です。インターネット上で行われたある調査では妻にダメ出しされた夫の多くは、家事に対するモチベーションが下がることがわかっています。

ダメ出しの内容としては「洗濯物を畳んだが下手くそと言われた」「皿洗いをしたが段取りが悪いと言われた」などがあり、妻にとっては何気ない一言のつもりが夫には想像以上のダメージになっています。

一方で「朝食を作ったときにありがとうと言われた」「お風呂を掃除したら気持ちよく入れたと言われた」など、お礼の言葉を言われた夫は家事に対するモチベーションが上がったことがわかっています。

sec.3 栄養素とストレス対策で産後フケを解消

栄養素とストレス対策で産後フケを解消

産後に大量のフケが出る原因は女性ホルモンの低下と育児でのストレスです。妊娠中は通常より多くの女性ホルモンが分泌されますが、出産後はその量がかなり減りますので、落差で身体に不調が現われることがあります。

時間が経てば少しずつフケの症状も落ち着いてきますが、できるだけ早く抑えたいですよね。そこで食事(栄養バランス)、睡眠、ストレッチ、ストレスコントロールなど、日常生活の細かい点に気を配り、少しでも早い症状の回復をめざしましょう。

とくにビタミンEは女性ホルモンの分泌を促進する効果や、頭皮の健康を促進する効果があり、産後フケの解消策としてはおすすめです。ビタミンEを多く含むピーナッツやブロッコリー、ほうれん草などを積極的に摂取しましょう。

この記事の監修
医薬開発研究課 課長/毛髪診断士 網野 伸哉

商品開発課 課長/毛髪診断士

網野 伸哉(あみの しんや)

成蹊大学経済学部卒業後、大手住宅メーカーに入社。2013年にアンファー株式会社に転職。
スカルプDブランドの商品開発責任者として従事し、15代目スカルプDの商品リニューアルを担当。

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