ミノキシジルとは?発毛効果や気になる副作用について詳しく解説

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薄毛治療の現場でよく耳にする「ミノキシジル」。頭皮に関するお悩みを抱える人の中には、ミノキシジルの正体が気になっている方も多いでしょう。そこで今回は、ミノキシジルの効果や作用メカニズム、副作用について詳しくご紹介します。
使用する際に相談が必要となるケースなど合わせて知っておきたい情報についても解説するので、ぜひご覧ください。

この記事の監修
医薬開発研究課 課長/毛髪診断士 長内 尚(オサナイ ヒサシ)

医薬開発研究課 課長/毛髪診断士

長内 尚(おさない ひさし)

早稲田大学理工学部応用化学科および早稲田大学院先進理工学部応用化学研究科を卒業後、大手化粧品メーカーに入社。
2015年にアンファー株式会社に転職。
スカルプDをはじめアンファー商品全体の商品開発責任者として従事し、現在は新規事業企画部門責任者も兼務。

sec.1 ミノキシジルとは?

ミノキシジル(Minoxidil)とは、壮年性脱毛症における脱毛・抜け毛の進行予防の効果が認められている成分です。商品の名前ではなく成分名という点に注意しましょう。
もともとは高血圧治療用に開発された成分ですが、治療中の患者に多毛が認められたことから、改めて外用の発毛剤成分として開発されました。海外ではタブレット式の内服薬が降圧薬として使用されていますが、発毛効果が認められているのは外用薬のみです。

sec.2 ミノキシジルの効果

ミノキシジルには、壮年性脱毛症における発毛を促し、健康的な髪を育てることで抜け毛を予防する効果があります。そもそもなぜ薄毛や抜け毛が発生してしまうのか、それに対してミノキシジルはどのようなアプローチをしていくのか、見て行きましょう。

壮年性脱毛症のメカニズム
壮年性脱毛症のメカニズム

監修:東京女子医科大学 皮膚科 前教授・講座主任 川島 眞

壮年性脱毛症とは、前頭部や頭頂部の毛包が萎縮することで毛髪が細く短くなり、段々と薄毛が進行していく現象です。
毛髪は通常、「成長期(2~6年)」・「退行期(2~3週間)」・「休止期(3~4ヵ月)」の周期で新しい髪に生え変わりますが、壮年性脱毛症になると、このヘアサイクルが乱れて周期が短くなります。「成長期」に毛包が充分に成長しない状態で「退行期」「休止期」へ移行してしまうため、そのまま毛包が小さくなり、毛髪が健康的に育たたなくなってしまうのです。
結果的に、細くて短い毛髪や抜け毛が増え、地肌が目立つようになります。

壮年性脱毛症チェック
ミノキシジルの発毛メカニズム
ミノキシジルの発毛メカニズム

監修:東京女子医科大学 皮膚科 前教授・講座主任 川島 眞

ミノキシジルは、壮年性脱毛症により成長期が短くなってしまった頭皮に対して、2つのアプローチを行います。
一つ目は、休止期の毛包に対するもので、成長期への移行を促進します(①)。
二つ目は、成長期(初期)の毛包に対するもので、壮年性脱毛症による成長期の短縮を改善する効果があります(②)。
二つの作用点から毛包にアプローチすることにより、髪が育つ成長期の期間を延長させ、健やかな髪が育つ手助けをしてくれます。

sec.3 ミノキシジルの効果が出るまでの期間

ミノキシジル5%製剤(外用薬)は使用してから効果が出るまで一定の期間を要します。4か月ほどから効果が認められると考えておきましょう。
使用を中止すると、徐々に元の状態に戻ってしまいます。使い続けることが大切です。

sec.4 ミノキシジルの副作用

ミノキシジル(外用薬)の副作用例
かゆみ、紅斑、鱗屑、毛包炎、かぶれ、顔面の多毛、乾燥、めまい、頭痛、動悸 など

外用薬であるミノキシジルは、降圧薬としての血管を広げる効果から、めまいや頭痛の副作用が、肌に直接塗布する使用方法から、かゆみやかぶれなどの副作用が起こる場合があります。副作用が見られた場合は我慢せず、すぐに医師や薬剤師に相談しましょう。

初期脱毛とは?
ミノキシジルによる治療を始めた初期段階で抜け毛が増加する「初期脱毛」は、多くの人に見られる症状です。使用開始後、2週間から8週間の間に起こることが多いと言われています。
ミノキシジルの効果により、休止期だった毛包が成長期へ移行する際に、古い毛髪が新しく生えてきた毛髪に押し出されることで起こります。抜け毛の増加に驚き、ミノキシジルの外用を止めてしまう人も多いですが、効果が表れている証拠なので使用を続けることが大切です。

sec.5 ミノキシジルの使用を控えるべき人

ミノキシジルの外用薬には、一部使用を控えるべき人がいます。副作用が発生したり症状が悪化する恐れがあるので、使用前に必ず確認しましょう。

未成年者や高齢者
未成年者のミノキシジルの使用に関しては、まだ臨床試験が行われていないため、安全性・有効性ともに認められていません。成長にどのような影響を及ぼすか明確な判断がついていない状況なため、使用は必ず控えましょう。
高齢者の使用に際しては、持病や皮膚の状態に関する留意が必要です。事前に医師や薬剤師の診断を受けると安心でしょう。
血圧や循環器系の異常が見られる人
もともと高血圧の治療薬として開発されたミノキシジルは、外用薬としての使用であっても血圧に影響を及ぼす可能性があります。高血圧や低血圧の症状がある人、心臓や腎臓に持病を持っている人は、事前に医師や薬剤師の診断を受けましょう。
壮年性脱毛症以外の原因による脱毛が疑われる人
甲状腺機能障害やアトピーなどの自己免疫疾患による脱毛が予想される際は、ミノキシジルでは効果がない可能性が高いです。医師の判断を仰ぎ、適切な治療を行いましょう。

sec.6 ミノキシジルについて正しく知り、効果的に使用しよう!

ミノキシジルの発毛メカニズムや副作用についてご紹介してきました。ヘアサイクルの成長期を延ばす効果のあるミノキシジル。効果を実感するためには長期的な使用が不可欠です。不安なことは医師や薬剤師に相談しながら、正しい知識をもとに自分にあった治療を続けていきましょう。

この記事の監修
医薬開発研究課 課長/毛髪診断士 長内 尚(オサナイ ヒサシ)

医薬開発研究課 課長/毛髪診断士

長内 尚(おさない ひさし)

早稲田大学理工学部応用化学科および早稲田大学院先進理工学部応用化学研究科を卒業後、大手化粧品メーカーに入社。
2015年にアンファー株式会社に転職。
スカルプDをはじめアンファー商品全体の商品開発責任者として従事し、現在は新規事業企画部門責任者も兼務。

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