ミノキシジルには副作用がある?やめるとどうなるのかまで徹底解説
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ミノキシジルとはAGAの治療によく用いられますが、副作用が現れることもあります。そもそもミノキシジルやAGAとはどういったものなのか、発毛メカニズムから効果、副作用まで詳しく解説していきます。
- この記事の監修
医薬開発研究課 課長/毛髪診断士
長内 尚(おさない ひさし)
早稲田大学理工学部応用化学科および早稲田大学院先進理工学部応用化学研究科を卒業後、大手化粧品メーカーに入社。
2015年にアンファー株式会社に転職。
スカルプDをはじめアンファー商品全体の商品開発責任者として従事し、現在は新規事業企画部門責任者も兼務。
目次
ミノキシジルとは?
ミノキシジルとはAGAに対し「抜け毛の進行の予防」と「発毛」の効果が認められた成分です。
元々は高血圧症の治療薬の成分として使用され始めましたが、治療中の患者に多毛が認められたことで、発毛剤として開発が進められるようになりました。
その後、1988年にAGA治療薬として承認。現在では「フィナステリド」や「デュタステリド」と並び、AGA治療薬として認知されています。
そもそも「AGA」とは?
ミノキシジルが効果的だと言われている「AGA」。近ごろCMで取り上げられていることもあり、聞いたことがある人は多いです。
ここでは、そもそもAGAとは何なのか解説していきます。
- AGAの病態
-
AGAとはandrogenetic alopeciaの略で、日本語では「男性型脱毛症」と訳されます。
AGAは、前頭部と頭頂部の毛髪が“軟毛化”して、徐々に細く短くなり、最終的には額の生え際が後退して、頭頂部全体の毛髪がなくなってしまう症状です。
- AGAは「ヘアサイクル(毛周期)」のリズムを壊す
-
毛髪には「ヘアサイクル(毛周期)」という、成長のリズムがあります。
<健康なヒトの毛髪のヘアサイクル>
成長期(2~6年):毛母細胞が増殖して毛髪をつくっている時期
退行期(2~3週間):成長が不活発になり、退縮する時期
休止期(3~4か月):成長が完全に止まり、脱毛する時期
健康な人では、毛髪の全体の85%が「成長期」にあるため、毎日抜け毛があっても、全体としてはフサフサとした毛量を保っています。
しかし、AGAになると、「成長期」が極端に短くなって、「成長期」の初期からいきなり「退行期」へと移行してしまいます。そのため、毛髪は長く育たず、太くもなりません。これが“軟毛化”です。
また、毛包も大きく育つことができずにミニチュア化(矮小化)して、「休止期」から「成長期」へ移行する率も減っていきます。
つまり、新しい毛髪が生えてこなくなるのです。
ミノキシジルによる発毛メカニズム
いったいなぜ、ミノキシジルはAGAに効果があるのでしょうか。ここでは、ミノキシジルによる発毛のメカニズムについて解説します。
<ミノキシジルの発毛のメカニズム>
①ミノキシジルが発毛因子の生産を促進する②毛母細胞・毛乳頭細胞の増殖が促進される
③毛包のミニチュア化を抑制する
ヘアサイクルの「休止期」の毛包を、「成長期」へと移行させる
ヘアサイクルの「成長期」の期間を延長させる
④発毛が促される
ミノキシジルが発毛因子の生産を促進することで毛母細胞や毛乳頭細胞が刺激されます。これにより毛包のミニチュア化の抑制や、AGAで乱れていたヘアサイクルを改善。その結果発毛を促し、毛髪を長く、太く育てるのです。
ミノキシジルの効果
AGAに効果的であると言われるミノキシジルですが、具体的にはどのような効果があるのでしょうか。ミノキシジルの主な効果は下記の2つです。
●抜け毛の進行の予防
ここでは、ミノキシジルの効果について詳しく解説していきます。
- 発毛
- ミノキシジルの発毛メカニズムでも解説しましたが、ミノキシジルには「インスリン様成長因子1」や「血管内内皮細胞増殖因子」といった発毛因子の生産を促進する働きがあります。発毛因子が毛母細胞を刺激したり、毛乳頭細胞を増殖させたりすることで発毛を促すと言われています。
- 抜け毛の進行の予防
-
ミノキシジルはヘアサイクルの「休止期」の毛包を、「成長期」へと移行させたり、「成長期」の期間を延長させたりする働きがあります。
ヘアサイクルが正常になり髪が十分に成長できることで、抜け毛の進行を予防できるでしょう。
ミノキシジルの種類
ところで、ミノキシジルには外用薬(塗り薬)と内服薬(飲み薬)があります。
ここでは、外用薬と内服薬についてそれぞれ解説していきます。
- 外用薬
-
一般的に、AGAの治療に用いられるのはミノキシジル外用薬の方です。日本でも一般用医薬品として製造・販売されているため、薬局やドラッグストアなどで購入することができます。
ミノキシジル外用薬は、頭部に塗られたミノキシジルが頭皮で「硫酸ミノキシジル」というより活性の高いものに代謝(変化)して、毛母細胞や毛乳頭細胞に作用します。
- 内服薬
-
ミノキシジル内服薬は、本来海外で、高血圧症治療薬として処方されるものです。
しかし、ミノキシジル内服薬にも発毛効果があるため、一部のAGA専門クリニックでは、AGA治療薬としてミノキシジル内服薬を処方するところもあるようです。
ミノキシジル内服薬は、消化器から吸収されたミノキシジルが、肝臓で「硫酸ミノキシジル」に代謝し、血液や体液で頭皮に運ばれて、毛母細胞や毛乳頭細胞に作用すると考えられています。
ミノキシジルの副作用
ミノキシジルを使用した場合に、副作用が発現する可能性もあります。実は副作用は、ミノキシジル外用薬とミノキシジル内服薬で少し異なるのです。
ここでは、外用薬と内用薬の副作用について解説します。
外用薬の副作用
関係部位 | 症状 |
---|---|
皮膚 | 頭皮の発疹・発赤、かゆみ、かぶれ、フケ、使用部位の熱感など |
精神神経系 | 頭痛、気が遠くなる、めまい |
循環器 | 胸の痛み、心拍が速くなる |
代謝系 | 原因のわからない急激な体重増加、手足のむくみ |
(参照|スカルプD メディカルミノキ5(添付文書)より)
ミノキシジル外用薬でもっとも多いのが、塗布部分の頭皮の発疹・発赤やかゆみ・かぶれなどの皮膚症状です。 これは、ミノキシジル外用薬の溶剤として使用されているアルコール(エタノール)や、外用薬に含まれる添加物に対する過敏症状やアレルギーによるものが多いと考えられます。
内服薬の副作用
関係部位 | 症状 |
---|---|
精神神経系 | めまい、頭のふらつき、失神 |
循環器 | 心拍の増加 |
代謝系 | 原因のわからない急激な体重増加、手足のむくみ、重度の消化不良の兆候 |
その他 | 胸部・腕・肩などの痛み、全身の多毛 |
(参照|LONITEN「添付文書」(米国))
ミノキシジル内服薬によって発現する副作用は、体液の貯留に起因するものが多いようで、手足のむくみや急激な体重増加のほか、頻脈や呼吸困難などもそれに含まれます。
ミノキシジルをやめるとどうなる?
AGAに効果的なミノキシジル。使っていくうちに「そろそろやめても良いかな」と思うことがあるかもしれません。ミノキシジルをやめると、副作用やAGAはどうなるのでしょうか?
●副作用がなくなる?
●AGAは治る?
ここでは、ミノキシジルをやめたらどうなるのか解説していきます。
- 髪質が変化する?
-
ミノキシジルの使用を止めると、髪質が変化する可能性があります。
ミノキシジルを使用すると乱れていたヘアサイクルが改善されて、「成長期」の期間が長く維持されるようになります。
「毛包」の大きさは、「成長期」の長さにほぼ比例するといわれていますが、毛包が大きくなるとそれに比例して毛髪も太く育ちます。
しかし、ミノキシジルを止めたことで「成長期」が再び短くなってしまうと、毛包も育たず、毛髪も細いままになります。
すると毛髪のコシもなくなり、軟毛化してしまうのです。
- 副作用がなくなる?
-
ミノキシジル外用薬の使用で、皮膚症状の副作用が発現していた場合、ミノキシジルの使用を止めると、副作用は改善します。
また、ミノキシジル内服薬によって副作用が発現していた場合でも、使用を止めると副作用が改善すると考えられます。ただし、改善までには少し時間がかかるかもしれません。
たとえば、ミノキシジル内服薬によって全身の多毛が起こった場合には、ミノキシジル内服薬の服用を止めてから副作用が消えるまでに1~6か月かかることもあるようです。
ミノキシジルをやめても副作用が治らない場合は、別の原因がある可能性も考えられます。
ミノキシジルには、使用をやめてからも症状が出るような後遺症の報告はありません。
したがって、副作用だと思っていた症状が、ミノキシジルの使用をやめても改善しない場合、別の原因によって引き起こされていた可能性もあります。
- AGAは治る?
-
ミノキシジルをやめた後も、AGAは治るでしょうか?
ミノキシジルの発毛効果によって、AGAの進行が止まっていた場合に、ミノキシジルの使用をやめるとどうなるでしょうか?
ミノキシジルの作用でヘアサイクルが改善した場合、ひょっとすると、ミノキシジルの使用を止めてもしばらくはヘアサイクルが正常なまま維持されるかもしれません。
しかし、AGAは加齢とともに進行します。
またしばらくするとヘアサイクルが乱れだし、抜け毛が目立つようになることは充分考えられます。
ミノキシジルの使用を止めた後、一時的にAGAが治ったように思われることがあるかもしれません。
しかし、やがてまたAGAの進行が始まる可能性が高いでしょう。
ミノキシジルに関するよくある質問
ここでは、ミノキシジルに関するよくある質問についてまとめました。
ミノキシジルの使用を検討している方はご確認ください。
ミノキシジルの効果が出ない人もいる?
使用期間が短いと効果が実感できない可能性があります。
ヘアサイクルの周期は2年から6年とも言われているため、ミノキシジルを1ヶ月使用した程度では効果を実感できないかもしれません。
最低でも半年は継続して使用してみましょう。
何年も使用しているのに効果が出ない場合には、間違った使い方をしているのかもしれません。
一度医師に相談してみてください。
ミノキシジルは未成年でも使える?
臨床実験が行われていないため、未成年は使用してはいけません。
「未成年だけど薄毛が気になる」というのであれば、皮膚科やAGA専門クリニックで医師に相談してみましょう。
ミノキシジルの後発品・ジェネリックはある?
外用薬にのみ後発のOTCが存在します。
一般的に、ジェネリックとは医療用医薬品の後発品のことを指し、医師の診断により処方されます。
OTCとはOver The Counter Drug の略称で、薬局やドラッグストアで処方箋無しで購入できる薬です。
ミノキシジル外用薬のOTC医薬品でしたら後発品が存在します。
一方、内服薬は国内で臨床試験が行われておらず治療薬として国内未承認のため、ジェネリックもOTC後発品もありません。
継続してミノキシジルを使用し、AGAを改善しましょう
AGA治療薬として定評のある「ミノキシジル」。
ミノキシジルを使用することで、発毛や抜け毛の進行の予防が期待できます。ただし、ミノキシジルを使用した際には動悸やめまいなど副作用が現れるかもしれません。深刻な副作用が現れた際には使用を中止し、すぐに医師に相談しましょう。
ミノキシジルを使用してもすぐに効果が出てくるわけではありません。長期にわたり使用し、少しずつAGAを改善していきましょう。
- この記事の監修
医薬開発研究課 課長/毛髪診断士
長内 尚(おさない ひさし)
早稲田大学理工学部応用化学科および早稲田大学院先進理工学部応用化学研究科を卒業後、大手化粧品メーカーに入社。
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スカルプDをはじめアンファー商品全体の商品開発責任者として従事し、現在は新規事業企画部門責任者も兼務。
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